2005年06月07日

環境をも打ち倒すウェルチの「志」

今、文庫版の「わが経営」を読んでいます。

ウォールストリートのアナリスト向けに、ウェルチが初めて語った時の言葉がえらく気に入りました。そのスピーチ自体は失敗として振り返っていますが、ウェルチの強さがビリビリと伝わってきます。曰く、
我々は単に GNP に見合った成長を目指していたのではない。それは他の大企業の目標だ。GE が目指すのは GNP を牽引する機関車であって、それに引っ張られる貨車ではない。
んー、アツいですね。

業績発表の場で市場の冷え込みを言い訳に使う IT 企業経営者も多いですが…なんて語るのは楽だし卑怯なんで、自分を振り返ってみます。

私は技術面での成長のヘッドルームが見えたせいで、転職しました。
ホント、30代半ばを過ぎて「マルチユーザー OS」がわからないような SE がいる職場に辟易していたんですね。

でも外に出るのはある意味簡単だし誰でもできることですが、中に留まって技術面でのリーダーシップをとる事を通じ、部内のプロジェクトのリスク低減に貢献するという働き方もあったのかも知れません。(いやまー、技術がワカランというのが致命傷でなくリスクにしかならない SI はやっぱり壮絶っちゃ壮絶ですが)

何年後かに自分が身につけているテクニカルスキルを尺度にすれば、転職は間違いなく成功です。
でも自身のテクニカルスキルを使って組織の生産性に貢献したりアーキテクチャを部内に浸透させるなんて経験と比べたなら、多少のスキルの差なんて霞んで見えるかも知れません。

当時の私は自身の成長のため、環境の中でいかに選択するかを考えたわけですが、ウェルチはいかに環境と戦うかを考えている。
うーん、スケールの違いを思い知りました。

他にも有名な「 No.1 か No.2 になれない事業は再建か売却か閉鎖」に漏れた事業部の反論にはこう答えています。
「利益は出ている。一体何が問題なんだ」
場合によっては大いに問題だ。長期的な競争戦略がなければ、その事業が破綻するのは単に時間の問題に過ぎない。(強調は市井)
強い男ってのはこういうのを言うんでしょうね。
「生活はできている。一体何が問題なんだ」どこかで誰かが言ってそうです。

まだ上巻の途中ですが、久々に読むのが楽しみな自伝です。
posted by 市井賢児 at 2005年06月07日 02:52
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SEはコミュニケーション能力が大切です。嘘です。

てか、どっちでもいいです。

この業界、何かと「コミュニケーション能力の重要性」が話題になります。

私、この議論自体がナンセンスに思え、(この業界の大御所の多くも語っていることを知りつつあえて言ってしまいますが)論者のコミュニケーション能力に疑問を持ってしまうこともしばしばです。

だって、「コミュニケーション能力」って言葉の意味が広すぎませんか?ある人は論理的に話せるか否かを問題にし、ある人は簡潔なドキュメント作成スキルを論じ、またある人はネゴシエーション能力を議論し、別の人は合コンでいかにウケるかを語ったりします。
これらのスキルは、カブッていたり離れていたりもしますが、基本的にはそれぞれ別モノです。

なんか言葉自体が一人歩きしてしまっていて、まったく別の粒度と尺度でそれぞれが議論しているものを「SE のコミュニケーション能力」という議題に収束させよう、というスタンスになってしまっている事が事態を複雑にしているように思えます。

この業界で「コミュニケーション能力」と言ったら何を指すか?
それが定まっていないのに「この業界におけるコミュニケーション能力の意義」なんて議論するのはナンセンスです。
我々はせいぜいで「要件定義における想像力の重要性」や「設計書の曖昧さを除去するノウハウ」しか語れないはずです。

議論には適切な解像度というものがあり、「SE のコミュニケーション能力」は議題が粗すぎますし、より高い解像度で語った事をあえて(抽象化でなく)粗い言葉に還元する必要はないと考えます。
posted by 市井賢児 at 2005年06月07日 02:11
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