2008年09月15日

「多角化」と「選択と集中」は相互補完

 議論メモ。
 業務の多角化は私たちの世代の感覚だと「古い物」のイメージがありますね。70年代以前の感覚というか。
 また選択と集中こそ基礎的な戦略であり、それと真っ向から反する多角化は稚拙な考え方との見方すらあります。

 ですが落ち着いて考えると、多角化と集中化は相互に補完しあう関係であり、状況の変化に合わせて入れ替わる相(フェーズ)であるとの見方が適切だとわかります。

 まず状況が厳しい中では、キャッシュフローを生んでくれる箇所を選び、そこにリソースを集中すべきです。
 リソースを効率的に使わないことには、厳しい状況で生き残っていくことが難しいからです。
 これは今、一般的に言われていることですね。

 ですが、その厳しい状況を乗り切って落ち着いてもなお、その集中状態を維持したり、さらに集約化を進めるべきでしょうか?
 答えは必ずしもイエスではありません。
 あまりに集中しすぎると、外的要因や偶発的要因でその集中先の将来性が失われた時、方向転換することすら難しくなってしまうからです。

 ある程度余裕が出てきたら、集中していたのとは違う場所に種を撒き、新たな芽を育てることにも力を割くべきです。
 この芽が花咲けばリスクの分散にもなりますし、新たなイノベーションが生まれるのもこういう場であることが多いはずです。
 Apple 社は90年代後半の危機的状況の中、Apple 社のアイデンティティに集中して iMac を産み成功し、体力が回復してから OS の Unix 化や iPod、iPhone の開発などイノベイティブな事業を広げていきました。
 そしてその相乗効果(シナジーは多角化とセットで語られがちな「バズワード」ですね)か、最近は Mac の売れ行きも好調だそうです。

 ですから必ずしも選択と集中が正しいわけではなく、自社や業界の状況に合わせて多角化とどちらの相にいるべきか、と考える方が妥当です。
 そもそも、選択と集中が効果を生むには、事前に有望な選択肢が存在することが前提ですからね。
 そしてその選択肢を意識的に増やすフェーズを担うのが多角化の時代ともいえます。
posted by 市井賢児 at 2008年09月15日 04:51
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