この業界、何かと「コミュニケーション能力の重要性」が話題になります。
私、この議論自体がナンセンスに思え、(この業界の大御所の多くも語っていることを知りつつあえて言ってしまいますが)論者のコミュニケーション能力に疑問を持ってしまうこともしばしばです。
だって、「コミュニケーション能力」って言葉の意味が広すぎませんか?ある人は論理的に話せるか否かを問題にし、ある人は簡潔なドキュメント作成スキルを論じ、またある人はネゴシエーション能力を議論し、別の人は合コンでいかにウケるかを語ったりします。
これらのスキルは、カブッていたり離れていたりもしますが、基本的にはそれぞれ別モノです。
なんか言葉自体が一人歩きしてしまっていて、まったく別の粒度と尺度でそれぞれが議論しているものを「SE のコミュニケーション能力」という議題に収束させよう、というスタンスになってしまっている事が事態を複雑にしているように思えます。
この業界で「コミュニケーション能力」と言ったら何を指すか?
それが定まっていないのに「この業界におけるコミュニケーション能力の意義」なんて議論するのはナンセンスです。
我々はせいぜいで「要件定義における想像力の重要性」や「設計書の曖昧さを除去するノウハウ」しか語れないはずです。
議論には適切な解像度というものがあり、「SE のコミュニケーション能力」は議題が粗すぎますし、より高い解像度で語った事をあえて(抽象化でなく)粗い言葉に還元する必要はないと考えます。